2009年10月17日(土)12:50

クラウス大統領はリスボン条約の署名を示唆

AFP

チェコのヴァーツラフ・クラウス大統領は、EU改革リスボン条約にほどなく署名する可能性を示唆した。条約が乗った列車は「もはや停止も方向転換もできないだろう」とクラウス大統領は日刊紙リドヴェー・ノヴィニーLidove Noviny に語った。

しかし私は依然リスボン条約を「ヨーロッパの自由」には良いことだとは考えていない。ヨーロッパの自由と民主主義をめぐる論争は条約が発効すれば、引き続き行われることになろう、とクラウス大統領は付け加えた。クラウス大統領は条約に署名していない唯一のEU加盟国の大統領である。

クラウス大統領はチェコに対して、リスボン条約によって初めて法的効力を与えられるEU基本権憲章の適用除外を求めている。その背景には、第二次大戦後に財産を剥奪されたズデーテンドイツ人が基本権憲章の財産権の規定を盾に新たな財産返還要求を起こすのではないかという危惧があると見られる。

クラウス大統領はリドヴェー・ノヴィニー紙とのインタビューで、チェコに対する適用除外は次の条約で付言し、加盟全27ヶ国の批准を求める可能性があると語った。これはおそらくクロアチアのEU加盟条約となろう。この条約に付帯条項を付けるという「約束」があれば私は満足だ、とクラウス大統領は語った。

クラウス大統領は、リスボン条約の署名を次期イギリス議会選挙の保守党の勝利まで引き延ばす意向ではないかという疑念を否定した。「私はイギリスの選挙を待つこともできなければ、またそうする意思もない。もしイギリスが数日あるいは数週間以内に選挙を実施するのであれば話は別であるが」と大統領は語った。イギリス保守党は、議会選で勝利した暁にはリスボン条約批准を問う国民投票を実施すると発表しており、イギリス国民による批准否決の可能性が取りざたされていた。イギリスの議会選挙は2010年春と見込まれている。

いずれにせよクラウス大統領はチェコの憲法裁判所による判断を待たねばならない。憲法裁判所は現在、リスボン条約がチェコの憲法に合致しているかを審査している。判決は10月27日に予定されている。*)

原題:Vaclav Klaus deutet Unterzeichnung von Lissabon-Vertrag an

*)訳注:10月13日のAP通信「チェコ政府はリスボン条約の再交渉を求める」によれば、チェコの憲法裁判所は10月27日の審理開始を発表したのであって、憲法判断の期日については言及していない。




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